spaceoddityのメンタルヘルスってなんだすか?

お馬鹿な一日今日も元気だぞー

せせ…せらぷすと!

 

セラピスト

セラピスト

 

 を読んでみた。

意外におもしろかった。
中井久夫風景構成法の十分に考え抜かれた設計は、もっといろんな側面から注目されてもいいじゃないかしらと思った。三つの景とそれぞれに当てはめるオブジェクト、そしてそれが語られる順番など非常に構造化されていて興味深い。そして、「風景」ということが重要。
 
そして、なにより中井久夫や河合隼夫などのイメージを用いた療法関係の実践や、心理学史の領域ではほとんど言及されない(わだすが知らないだけの)戦後日本における心理学および精神療法受容のなかで繰り広げられた大変興味深い研究者/実践者達の交流関係など参照された文献リストなども非常に役に立つもののように思われる。
 
私見としてこの本は、現代の三分診療とかいわれるあり方や薬物療法のみの診療といった精神医療の現場、あるいはACTのようなマニュアル化された制度としてのチーム医療の希薄さ(システム化ゆえの脆弱さってよく批判されてた記憶があるけど忘れた)、観察可能な行動のみに焦点を合わせた行動主義的なセラピーのあり方などなど現代において支配的なメンタルヘルスサービスのあり方を見直すために、敢えて非科学的で古くさく思われそうな「人薬」みたいな対話やイメージを表出する媒体を用いた心理療法の優れた側面をここ数十年の短いスパンにわたる(かつジャパンに限定した)歴史的な概観といった感じも偏ってるとはいえ読みやすいしわかりやすい。まぁでもいくら「イメージの力」って感じのこといわれても(言葉にすると意味づけされ、解釈され、変に限定されたものとして捉えられるからみたいな)、基本的にはやはり言語中心でイメージは、セラピストとクライエントの治療関係のなかでそれを中和させる重要な役割を担っていたという話だともとることができるだろう。だから風景構成法ってかなり言語的に構造化された手続きをふまえているじゃないかしらと良く知らないけど思う。
覚書として「風景構成法」と「風景」の問題を扱った論考が最近出ていた。

シェリング年報 '11(第19号) - こぶし書房

 

シェリング年報 第19号(’11)

シェリング年報 第19号(’11)